2019.4.29:2日目その4:カルギリク〜ピーシャン(皮山)
カルギリク(葉(叶)城)のバスターミナルにて。
公安と乗合タクシー運転手さんの間で、揉めていたものの、なんとか話がついたらしく、出発。
ていうか、回転灯つけたパトカーが先導してんですが、これどこまで先導するの? ひょっとしてホータンまで一緒に行くの?
したら、パトカーに私乗せてったが早かったんじゃないの?
回転灯まぶしいんですけど。
高速の乗り場らしきところで、また公安検査。
ここで、パトカーから降りてきた、さっきのお姉さんに、「悪いけどピーシャンまででいい?」と言われる。やっぱり!
他の人はピーシャンで降りるし、このままだとホータンに着くの夜中の2時だから、とのこと。
いいよ別に。ピーシャンてよく知らないけどホテルあるよね?と聞いたら、「应该有的(まああるだろう)」とのこと。
「ホテルの手配、手伝ってね」と念押したら、「向こうの警察に自分で相談して」とのこと。はいはい。
また「お腹減ってない?大丈夫?」と心配される。
「ビスケットあるから平気だよー」と、言ったら、「ならよかった。あんた国語(北京語のこと)わかるのね」と安心顔。
ウイグルの方の中国語は分かりやすいので助かります。
しかし、中国語ぜんぜん分からずヤルカンド行く人もいるでしょうし、分からんかったらこれは地獄ですね。不安でしょうがないはず。
ここで、やっとパトカーの先導おしまい。さすがにホータンまでは行かないですか。そらそうだ。
小一時間まぶしかった。
そういえば、ピーシャン(皮山)って、初めて行くけど変な名前。音訳かと思ったけど、ウイグル語では「グマ」ていうらしい。どういう意味だろう。
ピーシャンみたいな小さな町に泊まってもいいんなら、カラカシュも許してもらえるかな。
思い切って行ってみようかな。
こんなに早くホータンに来る予定なかったし。
何しろまだ令和にもなってないし。
(ホータン入りは本来、改元後の予定でした)
そうこう書いてる間に、ピーシャンの料金所に到着。
また公安検査。
私のパスポート何回コピーされるんだろう。
ここで、ご当地の公安より新事実。
「ピーシャンにホテルはない。改装中だ」と。
絶対うそだー。どうせここも、外国人お断りの町なんでしょう。
そして、「決まりで、2時から5時の間は、女性は公共車に乗せられないので、車で2、3時間寝てくれる?」とのこと。
安全のためにとのことですが、私の中国語能力もあって、何度聞いてもよく意味がわからない。
なんでもいいよもう。私は車で寝てもなんでもいいですよ、と返事をしたのですが、今度は運転手さんがなんかもめてる。早く帰りたいらしい。
しばしもめた後、公安のイケメンウイグル兄さんが、「そしたらちょっと待ってもらえるか。車手配するからホータンまで送るよ。それでいいか?」と。
だから私はなんでもいいと言ってます。
そもそも別にカルギリクでも良かったのに。
いつのまにか、絶対ホータンまで送らないといけない人、みたいになってる。
あーなんでホータンに行くって言い張ってしまったんだろう。カルギリクで流されずに、ここに泊まると言えばよかった。
現在、北京時間0時17分。
ピーシャンの料金所近くの公安の、よく分からない小屋にて、車を待つ。
「椅子汚れてない?コレで拭こう。寒くない?お腹すいてない?白湯いる?大事な外国からのお客様なんだから、遠慮するなよ」とイケメンウイグル公安、親切。
怒らせて大使館にでも電話されたら大変と思ってるのかな。
写真を撮らないでね、と言い残して兄ちゃんちょっと出て行く。
そりゃ撮るよねー。
ビジュアルがあれなんで、犯罪者扱いみたいに見えるけど、公安としては、寒い中外に置いとくわけにもいかないし、かといって公安の部屋の中に入れる訳にもいかないし、精一杯の配慮でしょう。
お兄ちゃんが戻ってきたので、慌てて写真を一旦ゴミ箱フォルダに隠す。
しかし、いろんなブログとか記事でら「スマホの写真見せろ、消去しろ」とよく言われる、と聞いてましたが、一回も言われんかったなあ。
公安を撮るそぶりを見せたら、アウトなんですかね。
兄ちゃん、今年小学生になる7歳の男の子がいるらしい。そりゃいいや。うちには猫がいるよ、と教えてあげました。
猫会いたいなあ。10連休を持て余して新疆まで来たばっかりに。
うちでおとなしく猫と寝てればよかったなあ。
せっかくなので、ここで、可愛い猫の写真をご覧ください。
暇なので、私の見張り役としてずっとここにいないといけないらしいイケメン兄ちゃんに「なんでここの地名、グマと皮山て、ウイグル語と漢語で全然違うの?」と聞いてみるも、知らねえとのこと。出身地じゃないかもしれんが、自分の勤めてる町やのに興味ないのですかね。
「どのくらい滞在してんの?」などと聞かれる。多分尋問やなくてただの興味ですね。
生前退位で休みが長いって、中国語でどう説明したらいいんだろう。
そして要らないというのに、やっぱり白湯をくれる。
中国の人は、とにかく白湯飲ませとけばいいだろうくらいに思ってるんじゃないでしょうかね。グイグイくる。
1時20分。かれこれ1時間。白湯が冷めてきたところで2杯目の白湯をくれる。インスタントラーメンいるか?と聞かれる。こんな夜中にいらないです。
「砂漠は真っ暗だから、安全のためにしょうがない決まりなんだよ。ごめんね」とか、「いま車を探しているけど、どうしても見つからなかったら、さっき乗ってきた車に戻ってきてもらって、それで仮眠して」と何度も丁寧に説明してくれるのですが、やっぱりいまいちよく分からん。
そしていちいち、「それでいいか?」と同意を求めてくる。だから「私は、別になんでもいい」と言ってるのに。
どの車でもいいし、車で寝てもいいし、ここで待つなら待つし。強制排除ではなく、あくまでも個人の自発的意思のもと、観光のお手伝いをしている、ということなんでしょうか。大使館とかに訴えて、揉めるケースもあるんですかね。
さらに歓談。
なんだお前日記書いてんのか。でも今日のことあんまり細かく書くなよ。わはは。
新疆は好きか?そうかそうか。北疆と南疆どっちが好きだ?そうだろう。南疆は食い物がうまいんだ。北疆は味付けが濃いしな。南疆はあんまり調味料使わないんだ。腹も壊したりしないぞ。俺も十何年間ウルムチにいたんだが。ああ、俺は南疆人だ。ご当地ピーシャン人だよ。この辺のウイグル族の男はみんな、カワプ(羊の串焼き)焼けるんだぜ。ラグメン(手打ち麺)が好きなのか? ああ、あれは俺は作れない。難しいからな。
なんだ。ピーシャンの人間だったんですか。したら、地名の語源くらい知っといてください。
ここでまた兄ちゃん外に行き、戻って来て言うには「お前が行くのホータンだよな。カラカシュ(墨玉)じゃダメか? カラカシュに行く車がいるんだが」とのこと。
車って呼ぶんじゃなくて、通りかかる相乗りタクシーを捕まえるということなんですか。なるほど。
しかし、カラカシュならむしろ行きたいです。
「全然いいよ」と言うと、「あ、でもカラカシュは外国人泊まれるホテルねえや」だと。
知ってる。期待させんでください。もう。
まだ続きます。多分次で終わるんじゃないかな。