2019.4.29:2日目その5:ピーシャン〜ホータン(和田)
深夜1時50分、相変わらずピーシャンの公安検査場の、よくわからない小屋みたいな空間にて。
お兄ちゃんがまた出て行ったあと、数分後に別の兄ちゃんが突然やってきて、「車が来たよ」とのこと。
慌てて出て行ったら、乗合タクシーでもない普通の車です。
安全がどうこうとか言ってたけど、通りがかりの知らない民間人の車に、外国からのお客様放り込むのは、別にいいんですか。何があっても知らんよ。
なんか分からんけどすみませんねえと乗せてもらったら、車の持ち主は、2人連れの漢族の男性。
漢族は久々の登場です。
最初のヤルカンドの公安以外は、全部ウイグル族でした。
イケメンウイグル公安に、挨拶もできなかった。残念。
いやー、どうもどうも、と助手席に乗せてもらったら、足元でなんか柔らかいのがゴソゴソしてます。
まさかの子犬。
1ヶ月のラブラドールだとのこと。
猫も大好きだけど、犬も大好きなんです。
この人たちは、間違いなく信頼に足る人物でしょう。だって犬好きなのだから。
可愛い可愛いと写真を撮るも、暗いしチョロチョロ動くし、うまく撮れない。
膝の上で寝てしまって、時々寝返りを打つ。かわいい。
もうこれで今日のこと、全部チャラでいいです。
「なんでこんな時間にホータンに行くの」と聞かれて、事の顛末を話したけど、うまく伝わってないのか、関わり合いになりたくないのか、「へー」で終わり。
おいちゃんとお兄ちゃんの二人連れは、カシュガルからホータンに行くところ、とのこと。
しかし、本当だったら私は、今頃カシュガルのホテルでスヤスヤ寝てるはずだったのに。
なんで、知らない漢族が運転する、高そうな車の助手席で、膝にラブラドールの子犬乗せて、アスファルトタイヤを切りつけながら、タクラマカン砂漠の暗闇走り抜けてるんでしょう。
もうちょっとだけ続く、と書いた時には、本当にもうちょっとだけのつもりだったのになあ。亀仙人もこんな気持ちだったのか。
「留学したあと日本に戻って、また中国に来て仕事したよ」としばしお話。
「なんで一回帰ったのに、また中国に働きに来たの」と言われて、「だって中国料理うまいやん。蘭州牛肉麺だいすき!」と媚びを売っておく。
さっきウイグル族のラグメン褒めたばっかりですが、八方美人なもので。
美人といえば、漢族の男性は名前を知らない女性に呼びかける時に「おい、美女(めいにゅー)」と呼びかけてくれるので、ちょっと気分がいい。
ただ「おい美女、ちょっと邪魔だからどいて」「美女、シートベルト締めろよな」などととても軽く使われる言葉なので、若干バカにされてる感はあるよね。
早朝3:40ホータン着。
漢族のお二人は、私をこの地の交番に届けるように言われたそう。
すんませんねえ。
「その前に牛肉麺でも食うか」と提案してくれる。
「24時間営業の店があるからさ。ホータンに着いたらすぐお前を交番に届けろと言われてるけど、まあ、まずはメシ食ってからだ」と。彼らも昨晩9時にカシュガルを発って7時間近く走り続けて、腹が減ってるらしい。
親切は素直に受けます。ありがとうございます。
ラグメンに飽きたら食べようと思ってた牛肉麺。
こんな形で早々に食べることになるとは。
味は普通でしたが、心づかいが嬉しいです。
漢族もウイグル族も、人と人として付き合えば、みんな本当にいい方ばかりです。
食後、最寄りの交番へ。
公安の方で連携ができてないらしく、連れてきてくれたお二人と警察でもめてます。
「話はついてんだから、日本人は預けて俺らはもう行くぞ」「いやちょっと待て、上司が来ないと俺は判断できん」を繰り返してる。
「ほんとすみません」というと、「いいよいいよ気にしないで」と言ってくれるんだが、そりゃうんざりですよね。ピーシャンでは、なんか知らん日本人押し付けられて、ホータンでは受け取り拒否されて。
「半袖で寒いんだぞ俺は!」とお兄さんが切れてる。ここ数日の南疆は、東京とほぼ同じように気温がグッと下がり、肌寒いです。ごめんねお兄さん。
早朝4:45。話がついたらしい。
送ってくれた漢族の男性に丁重にお礼を言ってパトカー乗車。
これからどうすんのかと思ったら、ホテルを探してくれているらしく。
あれ、これなんか知ってる。
こないだネットで、似たような顛末の記事を読んだばかり。
雑誌の記者が、こっそりカシュガルに取材に来たら、いつのまにか公安につけられてて、無理やり観光案内されて、ホテル決められて、高いてゴネたら安くしてくれて、で、翌日空港まで送り届けられたてやつだ。
https://www.sankei.com/smp/world/news/181003/wor1810030002-s1.html
まさか、似たようなことが、記者でもなんでもないただの観光客の身にまで起こるとは。
そして、高そうなホテルに連れてこられて、350元(5,800円)。
昨日泊まってたカシュガルの超豪華ホテルは118元(1,956円)だぞ。こんちくしょう。
私は今回、日本で猫を預けてるキャットホテルの一泊3,000円より高いとこには、泊まらないと決めてんだ。
「高すぎる」とぶーぶー文句言ったら、よし、次のとこは200元くらいねというのでついて行ったら、次のホテルは388元。高うなっとるやんけ。
SWATの腕章を、こんな時に使わんでいつ使うんや。頼むよ。
私も予約サイトを駆使して色々提案します。
結果、次のホテルで、ネット上では300元のところを、268元でいいとのこと。よし、いいだろう。
だが、今度はフロントのお姉さんと警察が揉めてる。なんなんもう。朝5時半ですよ。眠いんですけど。
お姉さん曰く。「やっぱり368元」だと。さっきは警察が聞きにきたから268と言ったけど、外国人ならこの値段だと言い張る。
予約サイトの画面を見せて頑張ったところ、「ほんならあんたが自分でネット予約しんさい。後30分待てば、6時になるから、したら1泊の値段で2泊泊まれるからその方がいいでしょう」と。
もう寝られるならなんでもいいです。
6時になって予約完了。
ここで、おまわりさんやっと「俺もう行くよ、じゃあな」と退場。やっと自由の身だ。やったー。
いい部屋です。
風呂トイレ別。
まあ、いい部屋で当たり前なんですが。単に自分で、いつもより高い部屋をネット予約しただけなのだから。
これにて、2日目、というか3日目の朝、終了です。
乗合タクシーに乗り合わせた方々、
ご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありませんでした。
あと、ホータンまで乗せてくれた漢族のお二人、ご迷惑をおかけしたうえ、牛肉麺までご馳走になり、本当にありがとうございました。
普通の味なんて言ってごめんなさい。
あったかいもの食べれて、命拾いしました。
繰り返しますが、2019年5月現在、ヤルカンド(莎車)には、行ってはいけません。
私のように軽い好奇心で訪れたり、泊まろうとしたら、まずは自分自身に大変なことが起こり得ます。
さらに、いろんな方に迷惑をおかけする恐れもあります。
公安の方も、一人一人の方々は、できる限りの配慮をしてくださいました。
が、公安には謝らない!